岩手で暮らす58歳ズボラ庭師があと20年生き抜くために体の不調と闘いながらも日々を送る物語

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剪定作業中のケガに保険は使える?個人の庭仕事とプロで違う備え方を解説

剪定作業中のケガに保険は使える?個人の庭仕事とプロで違う備え方を解説

「ちょっと庭木を切るだけだから」

そう思って手にした剪定バサミやノコギリ。でも、その「ちょっと」が、思わぬ大ケガにつながることがあります。

私は岩手で庭師をしている者です。長年この仕事をしてきて、剪定という作業が、実はとても危険なものだと、身にしみて感じています。刃物を使い、電動の道具を使い、ときには高い場所での作業もある。一瞬の油断が、取り返しのつかない事故を招くのです。

もし、あなたが庭木の手入れをするなら、あるいは剪定を仕事にしているなら、ぜひ考えておいてほしいことがあります。それは「もしケガをしたとき、保険は使えるのか?」ということです。

「そんな縁起でもない」と思うかもしれません。でも、事故は起きてしまってからでは遅いのです。事前に備えておくかどうかで、いざというときの生活の負担は、天と地ほど変わります。

この記事では、剪定中のケガにどんな保険が役立つのかを、わかりやすく解説します。

さらに、「自分の家の庭を手入れする一般の方」と「剪定を仕事にしている個人事業主の方」とでは、備え方が大きく違うので、それぞれのケースを分けて詳しくお話しします。あなたの状況に合った備えが、きっと見つかるはずです。

剪定作業がなぜ危険なのか ― プロが語る現場のリアル

まず、結論からお伝えします。剪定作業は、私たちが思っている以上に危険な作業です。だからこそ、保険による備えが大切になります。

なぜそう言い切れるのか。それは、剪定という作業が、危険な要素をいくつも抱えているからです。

刃物・電動器具・高所という3つの危険

剪定作業には、大きく分けて3つの危険がひそんでいます。

一つ目は、刃物です。剪定バサミ、ノコギリ、なた。どれもよく切れる刃物です。よく切れるからこそ、少し手元が狂えば、簡単に自分の指や手を切ってしまいます。

二つ目は、電動器具です。エンジン式やバッテリー式のヘッジトリマー(生垣を刈る機械)やチェーンソーは、作業を早く楽にしてくれますが、その分パワーがあり、扱いを誤れば大ケガのもとになります。

三つ目は、高所での作業です。木の上のほうを切るには、脚立や三脚に登ったり、ときには木に登ったりします。高い場所からの転落は、骨折や、頭を打つような命に関わる事故につながります。

この3つが組み合わさる剪定作業は、まさに危険と隣り合わせなのです。

「自分は大丈夫」が一番危ない

ここで、声を大にしてお伝えしたいことがあります。

どんなに若くても、どんなに運動神経が良くても、どんなに優れたプロでも、事故は起こります。

「自分は慣れているから大丈夫」「今まで一度もケガをしたことがないから平気」。こういう油断が、実は一番危ないのです。長年やっているベテランでも、ふとした瞬間に事故を起こします。むしろ、慣れによる油断が事故を招くことも少なくありません。

だからこそ、「もしも」を作業前に予期しておくことが大切なのです。そして、その「もしも」に備える手段の一つが、保険なのです。

剪定中のケガに使える保険は「傷害保険」

では、剪定中にケガをしたとき、どんな保険が役立つのでしょうか。ここが、この記事の一番大事なところです。

もちろん、すべての保険が使えるわけではありません。しかし、一般的に考えられる最も身近な保険が「傷害保険(しょうがいほけん)」です。

傷害保険とはどんな保険か

傷害保険とは、身近に起こるケガに備えるための、損害保険の一種です。

この保険の大きな特徴は、どんなケガでも対象になるわけではない、という点です。傷害保険が対象とするのは、基本的に「急激・偶然・外来」という3つの条件を満たした事故によるケガです。

少し難しい言葉なので、一つずつ、やさしく説明します。

「急激」とは、突然起こること。じわじわとではなく、いきなり起きた事故という意味です。

「偶然」とは、予想もしていなかったこと。わざとではなく、たまたま起きてしまった事故という意味です。

「外来」とは、体の外からの原因であること。体の内側の病気ではなく、外からの力によるケガという意味です。

たとえば、剪定中に突然ノコギリで指を切ってしまった。これは「急激(突然)」で「偶然(たまたま)」で「外来(刃物という外からの原因)」ですから、この3つの条件にぴったり当てはまります。だから、傷害保険の対象になる可能性が高いのです。

生命保険とは意識される度合いが違う

面白いもので、多くの方は「生命保険」は意識していても、「傷害保険」はあまり意識していません。

それどころか、「傷害保険と生命保険の違いがよくわからない」という方も、とても多いのです。傷害保険には、たくさんの種類があったり、支払いの条件が保険会社によって違ったりするため、わかりにくい部分があるのも事実です。

でも、剪定のようにケガのリスクが高い作業をする方にとっては、この傷害保険こそ、知っておくべき大切な備えなのです。

傷害保険が役立つ具体的なケース

では、実際にどんなケガのときに、傷害保険が役立つ可能性があるのでしょうか。剪定作業で起こりうる、具体的なケースを見ていきましょう。読んでいて怖くなるかもしれませんが、これが現実なのです。

刃物・道具によるケガ

まず、刃物や道具によるケガです。

たとえば、剪定中に突然、指を切ってしまった。ノコギリで手を切ってしまい、出血が止まらず、手術が必要になった。こうしたケースです。

刃物を使う以上、これは常に起こりうる事故です。特に、疲れて集中力が切れてきたときや、無理な体勢で作業したときに起こりやすいものです。

転落・落下によるケガ

次に、高い場所からの転落や、物の落下によるケガです。

木から落ちてしまった。脚立や三脚がグラついて、そこから落ちてしまった。あるいは、突然木そのものが倒れてきた。頭に太い枝が落ちてきて、脳挫傷(のうざしょう。脳が傷つくケガ)を負ってしまった。骨折してしまった。

高所作業では、こうした事故が命に関わることもあります。庭師として一言添えると、私は脚立の中でも、四本脚のものより「三脚」を強くおすすめしています。四本脚は平らでない地面ではぐらつきやすく、転落事故のもとになるからです。とはいえ、どんなに気をつけていても、転落のリスクをゼロにはできません。だからこその備えです。

枝や自然によるケガ

意外と多いのが、枝によるケガです。

作業中に、突然枝が目に突き刺さってしまった。最悪の場合、それが原因で失明してしまうこともあります。目のケガは、本当に怖いものです。私も作業中は、保護メガネをつけるようにしています。

ハチ・ヘビ・熱中症など

そして、忘れてはいけないのが、生き物や暑さによる事故です。

夏場の剪定では、突然ハチに刺されることがあります。特に、木の茂みの中に巣があると気づかず近づいて、刺されてしまう。刺されるだけでも大変ですが、アナフィラキシーショックという激しいアレルギー反応が出て、最悪の場合、死亡してしまうこともあります。

また、草むらでマムシに噛まれることもあります。マムシは毒ヘビです。噛まれると重症になり、こちらも命に関わることがあります。

さらに、真夏の作業では、熱中症で病院に搬送される、というケースもあります。

これらすべてが、剪定作業で実際に起こりうる事故です。傷害保険は、これらに対応できる可能性が高いのですが、ここで大切な注意点があります。保険会社によって、対象になるケースと、ならないケースがあるのです。 特にハチや熱中症などは、契約内容によって扱いが分かれることがあります。

ですから、加入を検討する際は、必ず保険会社に「剪定作業中のこういうケガは対象になりますか?」と具体的に確認することをおすすめします。ここを確認せずに入ると、いざというときに「対象外でした」ということになりかねません。

【重要】傷害保険と生命保険の大きな違い

ここで、多くの方が混乱する「傷害保険」と「生命保険」の違いを、はっきりさせておきましょう。これを理解すると、自分に何が必要かが見えてきます。

一番の違いは「病気を保障するかどうか」

両者の一番大きな違いは、ずばり「病気を保障するかどうか」です。

生命保険は、病気を保障できます。 病気で入院したり、病気で亡くなったりした場合に、保険金が支払われます。

一方、傷害保険は、基本的に病気を保障することができません。 あくまで「ケガ」に備える保険だからです。(ただし、保険の内容によっては、一部の病気を保障できるものもあります。)

この「病気を保障できない」という点だけを見ると、生命保険に比べてお得ではないように感じられます。だから、多くの方が傷害保険の必要性をあまり感じないのだと思います。

でも、剪定をする人には傷害保険の強みが生きる

しかし、ここで考えてみてください。

病気でしょっちゅう入院や通院をする人は、そう多くありません。ところが、突然のケガは、意外と多いものです。特に剪定をしている人は、突然のケガが本当に多いのです。作業に夢中で、知らないうちにケガをしていた、ということもよくあります。

そして、傷害保険には、剪定をする人にとって心強い強みがあるのです。

傷害保険では、事故によるケガで死亡したとき、後遺障害が残ったとき、入院したとき、通院したときに、保険金が支払われます。事故による後遺障害は、完治するまでに時間がかかり、長引く確率が高いので、この保障はあなどれません。

さらに、支払いの条件も、ケガをする人にやさしくできていることが多いのです。

入院については、生命保険にありがちな「初日から4日間は支払われない」というような条件がなく、入院した初日から支払われることが多いのです。

通院についても、生命保険のように「退院後の通院に対して支払う」といった条件がなく、入院とは関係なく、通院した日数の分だけ支払われることが多いのです。大きなケガでなくても、通院すれば対象になる。これは、軽いケガもしがちな剪定作業には、とてもありがたい仕組みです。

つまり、「ケガのリスクが高い」剪定作業をする人にとって、傷害保険は、その強みがぴったりと生きる保険だと言えるのです。

【ケース別】あなたに合った備え方 ― 一般家庭とプロで違う

さて、ここからがこの記事で特にお伝えしたい、大切な部分です。同じ剪定でも、「自分の家の庭を手入れする一般の方」と「剪定を仕事にしている個人事業主の方」とでは、備え方がまったく違います。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ケース①:個人が自分の家の庭を剪定する場合

まず、趣味やDIYで、自分の家の庭木を手入れする一般の方の場合です。

この場合、まず確認してほしいのが、「すでに入っている保険で、カバーできないか」ということです。

実は、多くのご家庭がすでに加入している保険の中に、ケガに備える特約(とくやく。オプションのようなもの)が含まれていることがあります。たとえば、火災保険や自動車保険にセットで、傷害に関する特約がついている場合があるのです。また、自治体やクレジットカードに付帯する保険が使えることもあります。

ですから、新しく保険に入る前に、まずは「今入っている保険で、庭仕事中のケガは対象になるか」を確認してみましょう。案外、すでに備えができているかもしれません。

もし何も備えがない場合は、家族全員をまとめて対象にできる「家族型」の傷害保険を検討するとよいでしょう。日常生活のケガ全般に備えられるので、庭仕事に限らず、家庭内での事故や、子どものケガなどにも役立ちます。保険料も、比較的手ごろなものが多いです。

一般家庭の方の場合、年に数回、庭木を切る程度であれば、そこまで手厚い備えは必要ないかもしれません。しかし、高い木に登って作業するなど、危険を伴う場合は、しっかりとした傷害保険を考える価値があります。

ケース②:個人事業主として剪定を仕事にする場合

次に、私のように、剪定を仕事にしている個人事業主の場合です。こちらは、一般家庭とは事情がまったく違い、より手厚く、多面的な備えが必要になります。

なぜなら、プロは、一般の方よりもはるかに剪定作業の回数が多く、危険な作業も多いからです。作業頻度が高いということは、それだけ事故に遭う確率も高いということです。ですから、傷害保険への加入は、ほぼ必須と言ってよいでしょう。

しかし、個人事業主が考えるべき備えは、「自分のケガ」だけではありません。ここが、一般家庭との大きな違いです。

一つ目は、自分自身のケガへの備えです。これは、これまでお話ししてきた傷害保険が中心になります。個人事業主は、会社員と違って、ケガで働けなくなると、すぐに収入が途絶えてしまいます。そのため、ケガで仕事を休んだ間の収入を補う「所得補償保険」なども、あわせて検討する価値があります。ケガが治るまでの生活費を支えてくれる、心強い備えです。

二つ目は、他人や物への損害への備えです。これは、プロならではの、非常に重要なポイントです。たとえば、剪定中に誤って切った枝が、お客様の家の屋根や車を傷つけてしまった。作業中に、通行人にケガをさせてしまった。こうした場合、賠償金を支払わなければなりません。これに備えるのが「賠償責任保険」です。仕事として剪定を請け負う以上、この備えがないと、一度の事故で大きな損害を負うことになりかねません。

つまり、個人事業主の方は、「自分のケガ(傷害保険・所得補償)」と「他人への損害(賠償責任保険)」の両面から備える必要があるのです。これらは、造園業や便利屋向けの事業者用の保険として、まとめて用意されていることもあります。同業者の組合や、取引のある保険代理店に相談してみるとよいでしょう。

まとめ ― 「もしも」の前に、今日できる備えを

ここまで、剪定作業中のケガと保険について、長くお話ししてきました。最後に、大切なことを振り返ります。

剪定作業は、刃物・電動器具・高所という危険がひそむ、思った以上に危ない作業です。そして、どんなに慣れた人でも、事故は突然やってきます。

そのケガに備える身近な保険が「傷害保険」です。突然の・偶然の・外からの事故によるケガに対応し、入院初日から、また通院した日数分から支払われることが多いなど、ケガのリスクが高い人にやさしい仕組みになっています。

そして、備え方は、あなたの立場によって変わります。

自分の家の庭を手入れする一般の方は、まず今入っている保険を確認し、足りなければ家族型の傷害保険を検討する。剪定を仕事にする個人事業主の方は、傷害保険や所得補償で自分のケガに備えると同時に、賠償責任保険で他人や物への損害にも備える。この違いを、ぜひ覚えておいてください。

ただし、保険の内容や支払いの条件は、保険会社や商品によって細かく異なります。「このケガは対象になると思っていたのに、ならなかった」ということを防ぐためにも、加入前には必ず、保険会社や代理店に、剪定作業の内容を具体的に伝えて、確認するようにしてください。

事故は、決して予期できるものではありません。だからこその保険です。

「自分は大丈夫」と思っているうちに、一度だけでいいので、あなたの備えを見直してみてください。危なっかしい剪定作業をしていると感じているなら、なおさらです。今日の小さな備えが、いざというときに、あなたとあなたの家族を守ってくれます。

安全第一で、これからも気持ちよく庭仕事を続けていきましょう。

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