岩手で暮らす58歳ズボラ庭師があと20年生き抜くために体の不調と闘いながらも日々を送る物語

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ポインセチアを剪定しないとどうなる?クリスマスを彩るための育て方

ポインセチアを剪定しないとどうなる?クリスマスを彩るための育て方

クリスマスが終わったポインセチア、そのままにしていませんか

12月、街がイルミネーションで輝きはじめるころ、花屋さんの店先に真っ赤なポインセチアがずらりと並びます。赤い葉と緑の葉のコントラストが、それだけでクリスマスの空気をつくってくれる。つい一鉢買って帰りたくなりますよね。

私も庭師という仕事柄、冬場にお客さまのお宅へうかがうと、玄関先やリビングの窓辺に飾られたポインセチアをよく目にします。買ったばかりのころは、それはもう見事なものです。

ところが、です。

年が明けて、2月、3月とお宅にうかがうたびに、そのポインセチアがどんどん残念な姿になっていくのを、私は何度も見てきました。赤かった葉は色あせて、下の葉はぽろぽろ落ちて、茎だけがひょろひょろと間のびして伸びていく。4月ごろになると、もう「これ、なんの植物でしたっけ」という状態です。

そして5月、お客さまがぽつりとおっしゃるんです。「去年のポインセチア、枯れてはいないんですけど、もうダメですかね」と。

その原因のほとんどが、たった一つ。剪定をしていないことなんです。

この記事では、ポインセチアを剪定しないとどうなるのか、そしてどうすれば来年のクリスマスにもう一度あの赤い姿を楽しめるのかを、庭師の目線からじっくりお伝えします。読み終えるころには、「捨てなくてよかった」と思っていただけるはずです。

「一年で終わる花」だと思っていませんか

まず、多くの方が抱いている思い込みからほどいていきましょう。

ポインセチアを買った方の多くが、こんなふうに考えています。

「クリスマスの飾りだから、シーズンが終われば処分するもの」
「一年草だから、春になったら枯れて当然」
「翌年また買えばいいや」

正直に言うと、私も庭師になりたてのころは、ポインセチアをその程度にしか思っていませんでした。冬のあいだだけ赤くきれいに咲いて、あとは静かに終わっていく、使い捨ての鉢花なんだろうと。

でも、ある年のことです。お客さまのお宅の縁側の隅に、背丈が1メートルほどもある、緑の葉を茂らせた不思議な木が置いてありました。見たことのない木で、「これは何ですか」とうかがったところ、返ってきた答えに私は本当に驚きました。

「5年前のクリスマスに買ったポインセチアですよ」

5年前のポインセチアが、木になっていたんです。

そのお宅の奥さまは、毎年春に枝を切り戻し、夏には外に出して日を当て、秋には段ボールをかぶせて赤くする。それを5年間くり返しておられました。しかも買ってきたときよりずっと立派で、幹はしっかりと太く、枝ぶりも堂々としていました。

このとき私は、自分がポインセチアという植物をまったく理解していなかったことを思い知りました。あれは「花」ではなく、「木」だったんです。

もしあなたが今、色あせたポインセチアを前にして「もう捨てようかな」と迷っているなら、少しだけ待ってください。あなたが持っているのは、使い捨ての飾りではありません。これから何年もかけて育てていける、一本の木なんです。

ポインセチアの正体は「熱帯の木」だった

なぜ剪定が必要なのか。それを理解するには、まずポインセチアという植物の本当の姿を知る必要があります。ここを知らないまま育てるから、うまくいかないのです。

原産地はメキシコ、実は寒さが大の苦手

クリスマスの定番といえば、雪と寒さのイメージですよね。だからポインセチアも、寒さに強い植物だと思っている方がとても多いです。

ところが、これがまったく逆なんです。

ポインセチアの原産地は、メキシコです。そう、あの暖かい国です。ポインセチアは熱帯生まれの植物で、寒さがとにかく苦手なんです。

本来なら、一年でいちばん寒い12月に、私たちの目の前に登場するはずのない植物なんですね。それがなぜ真冬の主役になっているのか。理由は後ほどお話ししますが、まずはこれだけ覚えておいてください。

ポインセチアは、寒がりです。

私の住む岩手のような寒い土地では、これは本当に大事なことです。12月の岩手の朝といえば、氷点下になることもめずらしくありません。そんな場所に、メキシコ生まれの植物を置いたらどうなるか。想像がつきますよね。

実際、私はこんな失敗を目にしたことがあります。あるお宅で、玄関の外にポインセチアの鉢を飾っておられました。「せっかくきれいだから、お客さまに見てもらいたくて」と。気持ちはとてもよくわかります。でも、たった一晩でその鉢は葉を落とし、見るも無残な姿になってしまいました。

ポインセチアは外に飾る植物ではありません。室内で、大切に育ててあげてください。これが第一のお約束です。

「花」ではなく「常緑性の低木」です

そしてもう一つ、多くの方が誤解していること。

ポインセチアは、花の咲く草花ではありません。常緑性低木、つまり「木」なんです。

一年じゅう葉を落とさない常緑の、背の低い木。それがポインセチアの正体です。

これはちょっと驚かれたのではないでしょうか。私も最初に知ったときは、にわかには信じられませんでした。でも、木だと知ると、いろいろなことが腑に落ちてきます。

木だから、挿し木で増やせます。土に枝を挿しておけば、ちゃんと根が出てくるんです。草花ではこうはいきません。

木だから、放っておくと枝が伸び続けます。そして木だから、剪定が必要なんです。

庭師の私にとって、これは実にわかりやすい話です。庭の木を放っておけばどうなるか。枝は好き勝手に伸び、形は崩れ、風通しが悪くなって病気が出る。だから私たちは毎年剪定をするわけです。

ポインセチアも、まったく同じなんです。鉢に植わっている小さな木を、庭木と同じように手入れしてあげればいい。そう考えると、急にやるべきことが見えてきませんか。

和名は「ショウジョウボク」、日本には明治時代に

ポインセチアには、日本での正式な名前があります。学術上の和名は「ショウジョウボク(猩々木)」といいます。

猩々(しょうじょう)というのは、中国や日本の伝説に出てくる、顔が真っ赤な生き物のことです。お酒が大好きで、顔が赤い。その赤さから名前がついたと言われています。名前の最後に「木」がついているところにも注目してください。やはり、木なんです。

一方、「ポインセチア」という呼び名は、初代メキシコ公使のJ・R・ポインセットという人物の名前からとられたものです。この方がアメリカに持ち帰ったことで、世界に広まっていきました。

日本に来たのは明治時代と言われています。思っていたよりずっと昔から、日本にあった植物なんですね。

クリスマスの主役になったのは「色」のせいだった

では、なぜ暖かいメキシコ生まれの植物が、真冬のクリスマスの顔になったのか。

答えはシンプルで、色がぴったりだったからです。

赤と緑。クリスマスカラーそのものですよね。メキシコに自生していたこの植物を見た異国の人が、「これはクリスマスにぴったりだ」と思い、自国に持ち帰った。それが始まりだと言われています。

正直なところ、ポインセチアにしてみれば、いい迷惑かもしれません。暖かい土地でのんびり暮らしていたのに、寒い国に連れてこられて、しかも一年でいちばん寒い時期に飾られる。色がクリスマスとマッチしていたことが、運の尽きだったわけです。

さらに言えば、花屋さんに並ぶポインセチアは、クリスマスに合わせて赤くなるよう、人の手で開花時期を調節されています。これを「短日処理」といいます。詳しくは後で説明しますが、要するに人間の都合に合わせて、無理やりスケジュールを合わされているんですね。

そう考えると、少しかわいそうな気もします。だからこそ、せめて買ってきたあとくらいは、外に放り出したりせず、室内で大切に育ててあげてほしいのです。

赤い部分は花じゃない、という衝撃の事実

ここで、ポインセチアにまつわる最大の勘違いをお話しします。これを知ると、ポインセチアの見え方が変わりますよ。

本当の花は、あの小さな黄色い部分

ポインセチアの花を見たことがありますか。

そう聞かれたら、ほとんどの方が赤い部分を指すのではないでしょうか。私も庭師になる前は、そう思っていました。

でも、違うんです。

ポインセチアの本当の花は、赤い部分の中心にある、あの小さくて黄色いつぶつぶなんです。

ポインセチアの花は小さな黄色い部分

見てください。中央にちょこんと集まっている、地味な黄色い粒。これが花です。あれだけ大きく赤く目立っているのに、本体の花はこんなにもささやかなんですね。

お客さまにこの話をすると、たいてい「えっ、これが花なんですか」と鉢に顔を近づけられます。そして「今まで一度も見ていませんでした」とおっしゃる。無理もありません。まわりが赤くて派手すぎて、主役が完全に隠れてしまっているんです。

赤いのは「苞(ほう)」という名の葉っぱ

では、あの赤い部分の正体は何なのか。

葉っぱです。

正確には「苞(ほう)」と呼ばれる、特別な葉です。苞の役割は、中心にある小さな花を包んで守ること。花を守るためのボディガードのような葉なんですね。

ポインセチアの赤いのは「苞(ほう)

こうして見ると、赤い部分の形が、たしかに葉っぱの形をしているのがわかります。緑の葉と並べてみると、色が違うだけで、かたちはよく似ているんです。

苞をもつ植物は、ほかにもあります。ハナミズキやミズバショウの白い部分も苞です。花びらだと思っていたものが、実は葉だった。植物の世界には、こういう「見た目にだまされる」ことがけっこうあります。

ここが大事なところなのですが、赤いのが「葉」だとわかると、次の話がすっと理解できます。

葉は、切っても大丈夫なんです。

花なら「せっかく咲いたのに切るなんて」とためらいますよね。でも、赤い部分は葉。だから春の切り戻しでは、赤い苞ごとバッサリ切ってしまってかまいません。むしろ切らなければならないんです。

剪定しないとどうなる? 待っている3つの結末

さて、いよいよ本題です。ポインセチアを剪定しないと、いったいどうなるのか。庭師として見てきた実例を交えてお話しします。

結末①:ひょろひょろに間のびして、姿が崩れる

いちばんよくあるのが、これです。

ポインセチアは、放っておくと背が高くなりすぎる性質があります。木ですから、枝はどんどん上へ上へと伸びていきます。

問題は、その伸び方です。室内で育てていると日光が足りないため、枝は光を求めて、ひょろひょろと細長く伸びていきます。専門的には「徒長(とちょう)」といいますが、要するに、間のびした情けない姿になるということです。

私が実際に見た例をお話しします。あるお宅で、剪定を一度もせずに2年たったポインセチアを見せていただきました。高さは1メートル近く。ところが枝は割り箸ほどの太さしかなく、上のほうにだけちょろんと葉がついている。まるで、細い棒の先に葉をくくりつけたような姿でした。

自分の重さを支えきれず、鉢ごと傾いていました。奥さまは「なんだかヤシの木みたいになっちゃって」と苦笑いされていましたが、これが剪定しないポインセチアの典型的な姿です。

結末②:下の葉が落ちて、丸坊主の茎だけになる

間のびが進むと、次に起こるのが葉落ちです。

上のほうの枝ばかりが伸びると、下の葉に光が当たらなくなります。植物は正直なもので、役に立たなくなった葉は自分で切り捨てます。栄養を送るのをやめて、落としてしまうんです。

その結果、どうなるか。上にだけ葉があって、下は裸の茎がむき出しという、なんともバランスの悪い姿になります。

これ、庭木でもまったく同じことが起きます。剪定しないマツやツツジも、内側が枯れ込んで、外側にだけ葉が残る「あんこの入っていない大福」みたいな状態になるんです。

一度落ちてしまった葉は、そこからは基本的に生えてきません。だから見た目を取り戻すには、切り戻して新しい枝を出させるしかないんです。

結末③:翌年、赤くならない

そして、いちばん残念な結末がこれです。

剪定していないポインセチアは、翌年のクリスマスに赤くなりません。正確に言えば、赤くなったとしても見栄えがしません。

理由は単純です。赤くなるのは、枝の先につく若い葉、つまり苞だからです。

枝が少なければ、赤くなる場所も少ない。ひょろりと伸びた一本の枝の先だけがぽつんと赤くなっても、あの花屋さんで見た、こんもりとした美しい姿にはなりません。

逆に言えば、剪定して枝の数を増やしてやれば、赤くなる場所も増えるということです。切り戻すと、切り口の下から新しい芽が2本、3本と出てきます。1本だった枝が3本になる。それが翌年、3つの赤い苞になるわけです。

剪定は、姿を整えるだけの作業ではありません。翌年の美しさを、自分の手で仕込む作業なんです。

庭師が教える、ポインセチア剪定の正しいやり方

では、具体的にどう剪定すればいいのか。時期と方法を順を追って説明します。

春の切り戻し:3分の1まで思いきって

いちばん大事な剪定が、春の切り戻しです。

冬を越した株は、暖かくなった春に、伸びている枝を3分の1に切り戻します。このとき、赤い苞も含めて切ってしまってかまいません。むしろ、含めて切ります。

「3分の1に切る」というのは、残すのが3分の1ということです。かなり大胆ですよね。私がお客さまの前で実演すると、たいてい「そんなに切って大丈夫なんですか」と声が上がります。

大丈夫です。というより、これくらい切らないと意味がありません。

なぜなら、切り戻しの目的は、株の下のほうから新しい枝を出させることだからです。中途半端に先っぽだけ切っても、下からは芽が出てきません。しっかり切ることで、株は「よし、新しく出し直そう」とスイッチを入れるんです。

庭木の剪定でも同じ考え方をします。形が崩れた木を若返らせるときは、思いきって強く切る。中途半端が、いちばんよくないんです。

このとき、切り口から白い汁が出てきます。ポインセチアはトウダイグサの仲間で、この汁は肌の弱い方だとかぶれることがあります。手袋をして作業して、切ったあとは手をよく洗ってください。小さなお子さんやペットがいるお宅では、切った枝をその辺に置きっぱなしにしないよう気をつけましょう。

夏の切り戻し:6月上旬と7月下旬の2回

春の切り戻しだけでは、まだ足りません。ポインセチアは背が高くなりすぎる傾向があるので、夏にもう2回、手を入れます。

タイミングは、6月上旬と7月下旬です。伸びてきた新芽を、半分くらいまで切り戻します。

なぜ2回もやるのか。枝数を増やすためです。

想像してみてください。1本の枝を切ると、下から2本の新芽が出ます。その2本をまた切ると、4本になります。それをもう一度切れば、8本です。

春・6月・7月と3回切ることで、枝はねずみ算式に増えていきます。枝が増えれば、秋に赤くなる苞も増える。こんもりと丸い、花屋さんで売っているような姿になるわけです。

これが「剪定は翌年の美しさを仕込む作業」という意味です。夏の暑い盛りに、緑の葉をチョキチョキ切るのは少し寂しいかもしれません。でもこの一手間が、12月の感動につながります。

ただし、8月以降の剪定はやめてください。秋以降は、赤くなるための準備期間に入ります。この時期に切ってしまうと、赤くなる葉そのものを切り落とすことになり、クリスマスに間に合いません。

剪定の道具と切る位置

道具は、清潔な剪定バサミか、よく切れる園芸バサミを使ってください。切れ味の悪いハサミで切ると、枝の断面がつぶれて、そこから傷みが入ります。

これは庭師として口を酸っぱくして言いたいところです。切れないハサミは、植物を傷つけます。使う前に刃を拭いて、できれば消毒しておくとなおいいです。

切る位置は、葉のつけ根の少し上です。葉のつけ根には「芽」が隠れていて、そこから新しい枝が出てきます。芽より上を切れば、その芽が動き出すというわけです。

逆に、芽のない場所でぶつっと切ると、そこから先が枯れ込んでしまうことがあります。切る前に枝をよく見て、「ここに芽があるな」と確認してから切る。この一手間で、仕上がりがぐっと変わります。

剪定と合わせて知っておきたい、一年の管理カレンダー

剪定だけしていても、育て方が間違っていれば意味がありません。ここからは、一年をとおしての管理をお伝えします。

置き場所と温度:15℃を目安に

ポインセチアを置く場所は、日当たりのよい窓辺が適しています。適温は15℃くらいです。

地域にもよりますが、10月ごろまでは戸外で栽培できます。11月以降は室内に取りこまないと枯れてしまいます。室内であっても、夜の気温は10℃以上を保ってください。

私の住む岩手では、この「10月まで外、11月から室内」という目安を、少し前倒しで考えたほうが安全です。岩手の10月は、朝晩がぐっと冷えこみます。10月半ばには室内に入れるくらいの気持ちでちょうどいいでしょう。

寒い地域にお住まいの方は、カレンダーの日付より、実際の気温を見て判断してください。夜の最低気温が10℃を下回りそうだと思ったら、その日から室内です。

やってしまいがちな3つの失敗

管理でよくある失敗を挙げておきます。

一つ目は、暖房の近くに置くこと。寒さに弱いと聞くと、つい暖かい場所に置きたくなります。でも暖房の風が当たる場所は、乾燥がひどく、かえって株を弱らせます。エアコンの吹き出し口の正面、ストーブのそば。ここは避けてください。

二つ目は、冷たい風に当てること。窓辺は日当たりがいいのですが、冬の夜の窓ぎわは、外気に近いくらい冷えこみます。夜だけ窓から少し離す、カーテンの内側に入れるといった工夫をしてください。玄関の開け閉めで冷たい風が直撃する場所も要注意です。

三つ目は、鉢をあちこち動かすこと。これは意外に知られていません。ポインセチアは、置き場所を何度も変えるとストレスを感じます。「日当たりがいいのは午前中はこっち、午後はあっち」と気を回して動かしていると、かえって調子を崩します。できるだけ同じ場所で管理してください。

植物は、環境が安定していることをいちばん喜びます。庭木を植え替えると数年は元気がないのと同じで、鉢植えも動かされるのが苦手なんです。

春から夏の育て方:外に出して、しっかり日に当てる

春になったら、切り戻したあとの株を戸外に出しましょう。直射日光によく当てて、水と肥料をしっかり与えます。

ここが、ひょろひょろにしないための最大のポイントです。

室内の光は、私たちが思っているよりずっと弱いんです。人の目には明るく感じても、植物にとっては薄暗い。だから室内だけで育てた枝は、光を求めて間のびします。

春から秋にかけて、しっかり日に当てた株は、枝が太く、節と節の間がつまった、がっしりした姿になります。この差は、12月に歴然と出ます。

私が見たあの「5年もののポインセチア」も、春から秋は必ず外に出しておられました。幹が太くなるのは、日光と、風に揺すられることの効果です。庭木も同じで、風の当たる場所の木ほど幹がしっかりします。

水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと。受け皿にたまった水は捨ててください。根が水につかりっぱなしになると、根腐れを起こします。

クリスマスに赤くする「短日処理」のやり方

さて、ここからが本番です。剪定して枝を増やした株を、クリスマスに合わせて赤くする方法をお伝えします。

ポインセチアは「日が短くなると色づく」植物

ポインセチアは、日が短くなると花芽をつける、短日結実性の植物です。

つまり、「昼が短くなってきたな」と感じると、「そろそろ花を咲かせる時期だ」とスイッチが入るということです。花が咲く準備が始まると、それに合わせて苞が赤く色づきます。

自然に任せておいても、晩秋になって日が短くなれば、葉は赤くなってきます。ただしそのタイミングは、クリスマスより遅れがちです。

だから、人の手でスイッチを早めに入れてやる。それが「短日処理」です。

初秋から70日、段ボールをかぶせる

やり方は、意外なほど原始的です。

初秋から70日くらい、遮光してやると、クリスマスのころに合わせて葉が赤くなります。

具体的には、箱などをかぶせて日が短いと勘違いさせるんです。夕方から翌朝まで、段ボール箱などをかぶせて、完全に光をさえぎります。

計算してみましょう。クリスマスに合わせるなら、12月25日から70日さかのぼると、だいたい10月中旬です。ですから、10月に入ったら準備を始めて、中旬から段ボールをかぶせ始めればちょうどいい計算になります。

大事なのは「完全に」遮光することです。段ボールのすき間から光がもれると、うまくいきません。夜の室内の電気の光でも、ポインセチアには「まだ昼だ」と伝わってしまいます。テレビの明かり、廊下の電球、そういう光もさえぎってください。

段ボールに黒い布をかぶせる、押し入れに入れる、といった方法もあります。要するに、真っ暗にすればいいわけです。

そして朝になったら、忘れずに外して日に当てます。この「かぶせて、外す」を毎日70日間くり返します。

やる人とやらない人で、こんなに違う

正直に言うと、70日間毎日というのは、それなりに根気がいります。旅行に行くときはどうするのか、うっかり忘れた日はどうなるのか、心配になりますよね。

一日二日忘れたくらいで全部だめになるわけではありませんが、続けるほど結果は良くなります。

遮光しなければ、葉は緑のままです。晩秋になって自然に日が短くなれば、それなりに赤くはなってきます。でも、遮光したものとしないものを並べて比べると、その違いは本当に大きいんです。

色の濃さも、赤くなる範囲も、色づく時期も違います。花屋さんで売られているあの鮮やかな赤は、この手間をかけた結果なんです。

「短日処理」は毎日の楽しみになる

私の知るお客さまは、この作業を「毎晩のあいさつ」と呼んでおられました。

夕食の後片づけが終わったら、鉢に段ボールをかぶせながら「おやすみ」と声をかける。朝、カーテンを開けるときに箱を外して「おはよう」と言う。それが日課になったそうです。

「面倒じゃないですか」とうかがったら、こうおっしゃいました。

「70日って長いようだけど、毎日やってると、少しずつ葉のふちが赤みを帯びてくるのがわかるんですよ。あ、来たな、って。それが楽しみで」

これは、買ってきた鉢を飾るだけでは絶対に味わえない喜びだと思います。自分の手で赤くしたポインセチアが、クリスマスの食卓に置かれる。その一鉢の重みは、店で買ったものとはまるで違うはずです。

ポインセチアを増やしてみませんか

もう一つ、木ならではの楽しみをご紹介します。挿し木です。

適期は6月から7月

ポインセチアは木なので、挿し木で増やせます。適期は6月から7月ごろです。

ちょうど、夏の切り戻しをする時期と重なります。つまり、切り落とした枝を捨てずに、そのまま増やす材料にできるということです。これは効率がいいですよね。

挿し木の手順

手順を追っていきます。

まず、新芽の部分を長さ8センチに切ります。次に、下の葉を1枚外します。

そして、ここが大事なのですが、切り口から出る白い汁液を洗い流します。ポインセチアの切り口からは、白い乳液のような汁が出ます。これをそのままにしておくと、切り口をふさいでしまい、水を吸えなくなります。流水でしっかり洗い流してください。

洗ったら、土に挿します。用土はパーライトか鹿沼土などがよいでしょう。栄養分のない、清潔な土を使うのがポイントです。肥料の入った土だと、雑菌が繁殖して切り口が傷んでしまいます。

仕上げに水をたっぷり与えて、日陰に置いておきます。

根が出るまでは、直射日光に当てないこと。まだ根がないので、日に当てると葉から水分がどんどん抜けて、しおれてしまいます。明るい日陰で、土が乾かないように管理してください。

増やせると、育てるのが楽しくなる

挿し木のいいところは、失敗しても元の株が残ることです。切り落とした枝でやるわけですから、うまくいかなくても損はありません。

そして、うまく根づけば、ポインセチアが増えます。ご近所や友人にお裾分けすることもできます。「これ、うちのポインセチアの子どもなんですよ」と渡せたら、ちょっと素敵じゃないでしょうか。

一鉢が二鉢、三鉢と増えていく。そうやって植物との付き合いが深まっていくのが、園芸のいちばんの面白さだと私は思っています。

今日からできる、たった3つのこと

長くなりましたので、最後に「これだけは」というポイントをまとめます。

今すぐやること:置き場所の見直し

もし今、ポインセチアが手元にあるなら、まず置き場所を確認してください。

暖房の風が当たっていませんか。冷たいすきま風が来ていませんか。日当たりはどうでしょうか。

置き場所を整えるだけで、株の持ちがまったく変わります。そして一度決めたら、動かさないこと。今日できるのは、これだけです。

春になったらやること:3分の1に切り戻す

暖かくなったら、赤い苞ごと、枝を3分の1に切り戻します。

思いきってください。ためらう気持ちはよくわかりますが、切らなければ、あのひょろひょろの姿が待っているだけです。切ることは、株を若返らせることなんです。

切ったあとは外に出して、しっかり日に当てて、水と肥料を与える。そして6月上旬と7月下旬に、新芽を半分まで切り戻す。この3回で、枝は見違えるほど増えます。

秋になったらやること:段ボールをかぶせる

10月中旬になったら、短日処理の開始です。夕方から朝まで、段ボールをかぶせて完全に遮光します。それを70日間。

12月、あなたの育てたポインセチアが赤く色づいたとき、その喜びはきっと特別なものになるはずです。

まとめ:捨てないでください、それは一本の木です

ポインセチアを剪定しないとどうなるか。答えを整理します。

枝がひょろひょろに間のびして姿が崩れ、下の葉が落ちて茎だけになり、そして翌年のクリスマスには赤くならない。これが、放置した先に待っている結末です。

でも、逆に言えば、剪定さえすれば、そのすべてを避けられるということです。

春に3分の1まで切り戻し、6月と7月にもう一度切り戻す。日光にしっかり当てて、秋に70日の短日処理をする。それだけで、去年のポインセチアが、今年もクリスマスを彩ってくれます。

ポインセチアは、使い捨ての飾りではありません。メキシコからはるばるやってきた、一本の木です。人間の都合でクリスマスに合わせて色づけられ、シーズンが終われば捨てられてしまう。そんなふうに扱われている姿を、私は庭師として少し寂しく感じています。

だからこそ、お伝えしたいのです。あなたの手元のその鉢は、まだ終わっていません。ハサミを一本用意して、春を待ってください。

来年のクリスマス、去年より立派になったポインセチアが、あなたの部屋を赤く彩ってくれますように。

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