草花のことを全く知らないズボラな庭師が、少し花に興味を持ち探索する話

オオアマナって雑草?それとも宝物?庭師が本音で語る「ベツレヘムの星」の正体

オオアマナって雑草?それとも宝物?庭師が本音で語る「ベツレヘムの星」の正体

1. 今日出会えた草花は?

「庭の隅っこに、白くてかわいい星みたいな花が咲いてる・・・これって何だろう?」

そんなふうに思って、この記事にたどり着いた方も多いんじゃないでしょうか。実はわたしも、長いこと庭仕事をしているのに、この花のことをちゃんと知ったのはわりと最近なんです。

今日は、その花「オオアマナ」について、いっしょに賢くなっていきましょう。

植物名・別名・花言葉・産地

まずは基本のプロフィールからです。Googleレンズでパシャっと撮って調べてみると、こんな結果が出てきました。

名前は「オオアマナ(大甘菜)」

漢字で書くと「大きい甘い菜っぱ」と書きます。ちょっと食べられそうな名前ですよね。でも実は、これがあとで大事なポイントになるのです!

別名は「オーニソガラム」というカタカナの名前です。お花屋さんではこっちの名前で売られていることも多いらしいですよ。

さらに別名がもう一つあって、英語では「スター・オブ・ベツレヘム(ベツレヘムの星)」と呼ばれています。カッケー!

花の見た目から英名ではStar of Bethlehem(ベツレヘムの星)と呼ばれています。
クリスマスの聖書のお話に出てくる、あの星のことです。白い星形の花がいっぱい咲く様子が、夜空にきらめく星みたいだから、この名前がついたんですね。

花言葉は「純粋」「無垢(むく)」「潔白(けっぱく)」です。
花言葉の「純粋」「無垢」「潔白」は、オオアマナの清楚な雰囲気の純白の花の印象からつけられたようです。真っ白でけがれのない花の見た目そのまま、という感じですね。だからこそ、結婚式のブーケにもよく使われるお花なんです。

産地は日本ではなくて海外です。
オオアマナは、ヨーロッパからアジア南西部が原産の植物です。もともと日本にあった花ではなくて、明治末期に鑑賞用として渡来した植物なんですね。つまり、おしゃれな観賞用のお花として海をわたってきたわけです。それが今では、すっかり日本の野原や庭になじんで、あちこちで群れになって咲いています。

オオアマナはどんな花なの?

むずかしい言葉を使わずに、ズボラに特徴をまとめてみます。

まず花の形。
オオアマナは、直径約3cmの星形をした6枚の花びらを持つ花を咲かせます。大きさは500円玉よりちょっと大きいくらい、と覚えておくとわかりやすいかな。花びらが6枚、きれいに広がって、まさに星形です。

色は真っ白なんですが、おもしろい特徴があります。
花被片の内側が純白であるのに対し、外側(裏側)にはっきりと緑色の太い筋が入っていることです。つまり、花の表は真っ白なのに、裏返すと緑色の線が入っているんです。だから、つぼみのときは緑っぽく見えて、パッと開くと真っ白な顔を見せてくれる、という色の変化が楽しめます。

そして、わたしが「へぇ!」と思ったのがこれです。
オオアマナの花は光に敏感に反応する性質を持っています。日中の明るい日差しの下で花を大きく開き、夜間や曇り、雨の日には花を閉じてしまいます。つまり、晴れた昼間にしか花を開かないんです。「あれ、昨日はきれいに咲いてたのに、今日は閉じてる・・・」と思ったら、それはお天気のせいかもしれません。花が眠ったり起きたりするみたいで、なんだかかわいいですよね。

開花時期は春。
オオアマナ(大甘菜)の開花時期:4月~5月。ちょうど桜が終わったあとくらいに、足元でひっそり星をまたたかせています。
背の高さは高さ:約20センチほどで、地面に近いところで咲く、小さくてかわいい花です。

庭師のひとこと第一印象

正直に白状します。わたし、この花を最初は「雑草」だと思って抜いていました。

だって、勝手に生えてくるんですもん。植えた覚えもないのに、春になると庭の隅にちょこちょこ出てきて、白い花を咲かせる。「また知らない草が生えてきたな」くらいの気持ちで、ほかの草といっしょにブチブチ抜いていたんです。

でもある日、ちゃんと花を見てみたら「あれ?これけっこうかわいいぞ?」と気づいて。調べてみたら、お花屋さんで「オーニソガラム」として立派に売られている観賞用の花だった、というオチでした。雑草だと思って抜いていたものが、実はお店で買われるくらいの花だったなんて・・・。庭師としては、ちょっと恥ずかしい話です。でも、こういう「知らなかった!」がたくさんあるのが、植物のおもしろいところなんですよね。

2. この草花の見分け方と、よくある「勘違い」

オオアマナは、正直なところ「似た花」がとても多いです。ここをしっかり押さえておけば、もう迷いません。

ここを見れば一発!見分け方のポイント

オオアマナを見分けるポイントは、大きく3つです。

1つめは「花のつき方」です。オオアマナは、1本の茎から枝分かれして、その先にいくつもの花が咲きます。1本の茎にひとつだけポツンと咲く花とは、ここが大きく違います。1本の花茎の先に複数の花(文献によっては6個から20個以上)がつくので、こんもりと花の集まりになるんです。

2つめは「花の裏側の緑の線」です。さっきもお話しした、花びらの裏に入っている緑色の太い筋。これはオオアマナならではの目印です。気になったら、そっと花を裏返してみてください。緑のラインがあれば、ほぼオオアマナで間違いありません。

3つめは「雄しべ(おしべ)の形」です。花弁だけでなく内側の雄しべも星のようで、星が二重になっている。花の真ん中をよーく見ると、白い雄しべがまた星みたいに並んでいて、外側の花びらの星と二重になっているんです。これに気づくと、なんだか得した気分になりますよ。

似ている「あの花」との違い

オオアマナと、いちばんよく間違えられるのが「ハナニラ」という花です。初心者の方が「どっちだろう・・・」と迷う、最大のポイントがここです。

ハナニラも、白っぽい6枚の花びらで星形の花を咲かせます。ハナニラも、白やピンクで6枚の花弁の花を咲かせ、星の形に見えます。見た目がそっくりなので、迷うのも当然なんです。

でも、見分け方はちゃんとあります。

いちばん簡単なのは「葉っぱのにおいをかぐ」ことです。
ハナニラは、その名のとおり、葉っぱをちぎると「ニラ」や「ネギ」のようなにおいがします。ハナニラの名前の由来は、葉っぱの部分や球根を傷つけると、「ニラやネギのようなにおいがする」ところから名付けられた。

オオアマナの葉っぱはにおいません。だから、葉っぱを少しちぎってクンクンしてみて、ニラくさかったらハナニラ、においがなかったらオオアマナ、と覚えると簡単です。

花の形でも見分けられます。
ハナニラの場合は花弁が3枚、3枚で上下に分かれていますので、オオアマナの方が平らに見えるのが違いです。オオアマナの花はぺたんと平らに開くのに対して、ハナニラはちょっと上下が分かれて見えるんですね。

ちなみに、もう一つ「アマナ」という花とも名前が似ているので混乱しがちです。でも、こちらは見分けやすいです。オオアマナは食用にもされるアマナの姿とよく似ていますが、花のつき方が違います。

アマナは1本の茎にひとつだけ花が咲くことが多く、オオアマナのように枝分かれしてたくさん咲くことはありません。「たくさん枝分かれして咲いていたらオオアマナ」と覚えておけば大丈夫です。

3. 知ると面白い!この草花の「意外な素顔」

ここからは、知っているとちょっと人に話したくなる雑学のコーナーです。

名前のユニークな由来

「オオアマナ(大甘菜)」という名前、不思議だと思いませんか?「甘い菜っぱ」なんて、まるで野菜みたいな名前です。

この名前の秘密は、さっき少し出てきた「アマナ」という別の花にあります。
オオアマナの名の由来は、よく似た同じユリ科の植物「アマナ(甘菜)」より花のサイズが大きいため、「大きい花の甘菜」という意味で「オオアマナ(大甘菜)」と呼ばれるようになりました。つまり、「アマナによく似ていて、それより大きいから、大きいアマナ=オオアマナ」というわけです。とてもシンプルなネーミングですよね。

そして、別名の「オーニソガラム」にも、おもしろい由来があります。
名前の由来は、ギリシャ語の“Ornithos(オルニス:鳥の意味)”と、“Gala(ガラ:乳の意味)”という言葉です。「鳥」と「乳」を合わせた名前なんです。

なんで鳥のミルクなの?と思いますよね。これは花の姿が鳥に似ており、その形から名づけられたと言われています。一つの花に、星、鳥、ミルク・・・と、たくさんのイメージが詰まっているなんて、ロマンチックな花です。

雑草?それともお宝?

「勝手に生えてくるし、雑草でしょ?」と思いきや、オオアマナには意外と立派な歴史があります。

さっきもお話ししたように、オオアマナは明治末期に鑑賞用として渡来した植物です。つまり、もともとは「きれいだから」とわざわざ海をわたって連れてこられた、由緒正しい観賞用の花なんです。雑草あつかいするには、ちょっと申し訳ない経歴ですよね。

さらにおもしろいのが、海外では「フラワーエッセンス」というものに使われていることです。バッチフラワーの スター・オブ・ベツレヘムの 和名は「オオアマナ」。これは、花の力で心をいやす、という考えにもとづいたもので、海外では心が疲れたときのケアに使われたりしているんです。ただの「庭に生える白い花」が、海をこえると人の心を支える存在になっている。そう考えると、足元の花がちょっと特別に見えてきませんか。

4. 庭師目線で語る「この草花との付き合い方」

さて、ここからは実際に庭にオオアマナが生えてきたとき、どうすればいいの?という実用的なお話です。

庭に生えてきたら、抜くべき?残すべき?

結論から言うと、「あなたが純白の星形の花を楽しみたいなら、残してOK」です。

ただし、一つだけ知っておいてほしいことがあります。それは「とにかくよく増える」ということです。丈夫で栽培は容易で、一度植え付ければ植えっぱなしで管理でき、分球して広がります。

「分球(ぶんきゅう)」というのは、土の中の球根がどんどん分かれて増えていくことです。お芋がポコポコ増えていくイメージですね。

だから、「ちょっとだけ咲いてくれればいいな」というつもりでも、何年かたつと庭の一角がオオアマナだらけになる、なんてこともあります。鱗茎でふえて林内や土手などに群生する。群れになって咲くと、それはそれは見事な白い星空みたいになるんですが、「ほかの植物のスペースまで取られて困る」という場合は、増えすぎる前に球根ごと掘り上げて減らすのがおすすめです。

逆に、この「増える力」を生かすこともできます。地面を覆ってくれる「グランドカバー」として、何も植えていない庭の隙間に広げてあげれば、春には一面の星畑になります。増えすぎを「困る」と見るか「ラッキー」と見るか。それはあなたの庭しだいです。

もし育てるなら?ズボラ流の放置育成法

朗報です。オオアマナは、おそろしく手がかかりません。ズボラさんにこそぴったりの花です。

まず、植える時期はオオアマナの植え付けの適期は、10月~11月です。秋に球根を植えておけば、春に勝手に咲いてくれます。

水やりについては、むしろ「あげすぎないこと」が大事です。
オオアマナの栽培には基本的に乾燥した状態が適しているので、水をやりすぎないように気をつけてください。かわいさのあまり毎日お水をあげたくなりますが、グッとこらえましょう。夏から秋までの休眠の季節は水やりの必要はないので、雨の降水に任せる程度で大丈夫です。花が終わって夏になったら、もう放っておいてかまいません。雨だけにおまかせでOKです。

肥料もほとんどいりません。
オオアマナはそれほど肥料を必要としないので、球根を植え付けた後に緩効性肥料を与える程度で十分です。つまり、植えるときにちょっとだけ肥料をあげれば、あとはほぼ放置で育ってくれる、という親孝行な花なんです。ズボラ流の付き合い方としては「秋に植えて、あとは見守るだけ」。これでバッチリです。

5. その他のお役立ち情報

最後に、あなたが「これ気になる!」と思うであろう疑問に、ズバッとお答えします。

「これって毒?」

ここがいちばん大事なので、しっかり読んでください。

オオアマナには毒があります。オオアマナには毒性があるので注意が必要です。とくに鱗茎(りんけい=球根のこと)は有毒です。見た目がかわいくて、名前も「甘い菜っぱ」なので油断しがちですが、口に入れてはいけません。

「実は食べられる?」

名前に「菜(=食べられる葉っぱ)」とついているので、つい「食べられるのかな?」と思ってしまいますよね。でも、答えは「NO」です。

ここがとっても紛らわしいポイントなんです。名前のもとになった「アマナ」のほうは、実は食べられます。アマナには甘味があり、葉や根が食用になる一方、オオアマナには毒性があり、基本的に食べるのは危険なんです。

つまり、「アマナは食べられるけど、オオアマナは食べられない」。名前が似ているせいで、ここを勘違いすると大変なことになります。「大きいほうのアマナ(オオアマナ)は食べちゃダメ」と、しっかり覚えておいてください。

「ハナニラも毒があるって本当?」

ついでにお伝えすると、見分け方のところで出てきた、似た花の「ハナニラ」にも毒があります。
ハナニラの葉っぱは、名前の由来のとおり、ニラのにおいはするが、食べることは出来ない。理由は葉っぱや球根に毒が含まれているから。「ニラのにおいがするから食べられそう」と思っても、絶対に食べてはいけません。オオアマナもハナニラも「見て楽しむ花」と覚えておけば安心です。

■最後に、私から一言

冒頭でお話ししたとおり、わたしはこのオオアマナを、ずっと雑草だと思って抜いていました。でも、ちゃんと向き合ってみたら、明治時代に海をわたってきた由緒ある観賞用の花で、星の名前を持ち、海外では人の心をいやすのにも使われている・・・そんな素敵な花だったんです。

足元に生えている小さな花も、知れば知るほど顔つきが変わって見えてきます。次にお庭や散歩道で白い星形の花を見つけたら、ぜひしゃがんで、花の裏側の緑の線をのぞいてみてください。

「あ、オオアマナだ」とわかった瞬間、いつもの景色がちょっとだけキラキラして見えるはずです。

今日もひとつ、いっしょに賢くなれましたね。

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